demandの意味は?例文で学ぶ使い分け術
英語の demand は「要求する」「需要がある」と訳されることが多い単語ですが、実際には動詞か名詞か/誰に向けた表現か/どの場面かによって、強さや印象が大きく変わります。
特に動詞として使う場合、日本語の感覚で使うと強すぎてしまうことも少なくありません。
この記事では、demand の意味・文型・定番表現・類義語との違いを整理し、なぜその表現が強く聞こえるのか/なぜ安全なのかがわかるように解説していきます。
demandの基本的な意味
動詞としてのdemandの意味
demand(動詞) は「強く要求する」「当然の権利として求める」という意味を持ち、英語では話し手の立場の強さ・正当性・切迫感を強く示す動詞です。
この動詞には、次のような特徴があります。
- 相手が断ることを前提にしていない
- 感情(怒り・不満)や権限(上司・組織・法律)が背景にある
- 交渉というより「要求・命令」に近い響き
そのため、日本語の「求める」「頼む」と安易に対応させると、英語では想定以上に強く聞こえることがあります。
よく使われる場面:
- 労働問題・抗議活動・交渉
- 法的・公式な要求
- 強い不満を示す場面
例文:
- The workers demanded higher wages. (労働者たちは賃上げを強く要求した)
- She demanded an explanation from the company. (彼女は会社に説明を強く求めた)
一方で、次のように主語が人ではない場合、意味がやや和らぎ「〜を必要とする」というニュアンスになります。
- This job demands patience and attention to detail. (この仕事には忍耐力と細部への注意が求められる)


うん。「相手は応じるべき」という前提がある動詞だからね。

じゃあ日常会話で使うと、怒ってる感じになる?

その可能性が高いね。
友達相手なら避けたほうが無難だよ。
名詞としてのdemandの意味
demand(名詞) は「需要」「要求」を意味し、動詞とは異なり感情的な強さはほとんどありません。
特に、経済・ビジネス・社会的文脈で非常によく使われます。
名詞の demand は、次のようなポイントで使われます。
- 市場や社会全体の動きとしての「需要」
- 数量・増減・傾向と一緒に語られる
- 客観的・分析的な文脈
例文:
- There is high demand for electric vehicles. (電気自動車の需要は高い)
- Demand for remote work has increased. (リモートワークの需要が増えている)
また、抽象的な「要求」という意味で使われることもあります。
- The job places heavy demands on employees. (その仕事は従業員に大きな要求を課す)
この場合も、動詞ほどの圧はなく、「負担・必要条件」に近いニュアンスです。

名詞の demand は全然怖くないですね。

そう。むしろビジネス英語では必須単語。

動詞と名詞で印象が逆なくらい違いますね。

そこを区別できると一気に理解が深まるよ。
demandの発音と読み方
demand の発音は、日本人にとって少し聞き取りにくいポイントがあります。
- 発音記号:/dɪˈmænd/
- カタカナ表記:ディマンド(またはディメァンド)
- アクセント:後ろの -mand 部分
最初の di- は弱く、 後半の -mand をはっきり発音するのがコツです。
- × デマンド(平板)
- ○ ディ マンド(後ろを強く)
また、
- de- は /diː/ ではなく /dɪ/
- -mand の a は /æ/(口を大きく開ける)
という点も重要です。
動詞・名詞どちらでも発音は同じなので、意味によって読み方が変わることはありません。

カタカナの「デマンド」だと通じにくい?

通じることもあるけど、ネイティブには少し不自然。

後ろを強く意識すればいいんですね。

そう。それだけでかなり英語っぽくなるよ。
demandの基本的な使い方:文型と代表的パターン
demand + 名詞のパターン
demand + 名詞 は、demand の中でも最も基本的で頻度の高い形です。
意味はシンプルに「〜を強く要求する」ですが、重要なのは その要求が非常に一方的である という点です。
この形には、次のような特徴があります。
- 相手の同意を前提にしていない
- 話し手が強い立場・正当性を持っている
- 公的・対立的な場面で使われやすい
よく一緒に使われる名詞:
- an apology(謝罪)
- an explanation(説明)
- compensation(補償)
- change / reform(変更・改革)
例文:
- He demanded an apology from the company. (彼は会社に謝罪を要求した)
- Protesters demanded immediate change. (抗議者たちは即時の変化を要求した)
日常会話でこの形を使うと、怒っている・命令している印象になりやすいため注意が必要です。

demand の後ろに名詞を置くだけで、かなり強く感じますね。

そう。文としては簡単だけど、感情の圧が強いよ。

初心者ほど使いすぎると危険ですね。

うん。まずは理解する用法だよ。
demand that / demand to do の文構造と自然な言い換え
この2つは、demand の文法理解で特に重要な構文です。
demand that + 主語 + 動詞(原形):
この形は主にアメリカ英語で使われ、 「仮定法現在」と呼ばれる文法構造になります。
- The boss demanded that he leave immediately.
- The law demands that everyone follow the rules.
ポイント:
- that の後でも 動詞は三単現にならない
- 非常にフォーマル・公式な響き
demand to do:
こちらは「主語自身が〜することを要求する」場合に使われます。
- She demanded to speak to the manager.
- He demanded to know the truth.
※ 他人に何かをさせたい場合は demand that を使うのが基本。
自然な言い換え:
日常会話では demand 自体が強すぎるため、次のような言い換えがよく使われます。
- demand → ask politely
- demand → strongly insist
- demand → say that ~ is necessary

that の後が原形なの、毎回迷う…。

これは「例外」じゃなくて、公式要求の型だと思うと覚えやすいよ。

会話では避けたほうがいいですね。

うん。書き言葉向きだからね。
demand A from B の構文解説
demand A from B は「B に A を要求する」という形で、 責任の所在を明確にする構文です。
- 要求する側とされる側がはっきりする
- 法律・契約・ビジネス文書で多用される
例文:
- The company demanded compensation from the supplier.
- The government demanded an explanation from the minister.
この構文は、感情よりも
- 義務
- 責任
- 違反への対応
といった要素を強く示します。

ニュースでよく見る形ですね。

うん。「誰に対しての要求か」を明確にする必要がある場面で使うよ。

日常会話では硬すぎますね。

ほぼ使わないと思っていい。
demand on の用法と意味
demand on + 人・時間・資源 は、 「〜に大きな負担をかける」「〜を多く必要とする」という意味になります。
この demand は、
- 直接的な要求
- 命令
ではなく、状況として必要性が高いことを表します。
例文:
- The job places heavy demands on her time.
- Parenting makes constant demands on your energy.
この用法では、
- 人
- 時間
- 体力・集中力
といった抽象名詞とよく組み合わされます。

これは demand でも優しく感じる。

そう。人に向けてないから圧が弱いね。

ビジネス説明で使えそうですね。

かなり使える表現だよ。
実践編:例文で学ぶdemandの使い分け術
日常会話での例文:強すぎない言い方・婉曲表現
日常会話で demand をそのまま使うと、 「怒っている」「命令している」「高圧的」という印象を与えやすくなります。
そのため、ネイティブは 感情を和らげる表現 や 必要性を示す言い方 に置き換えることがほとんどです。
ポイントは次の3つです。
- 要求ではなく「事情・必要性」を伝える
- 相手に判断の余地を残す
- クッション表現(could / would / I think)を使う
強すぎる例(避けたい):
- I demand an answer.
自然な言い換え例:
- I really need an answer.
- Could you give me an answer?
- I was hoping you could explain this.
- I think we need to talk about this.
これらは同じ内容でも、 「対話しようとしている」印象を与えます。

意味は同じなのに、雰囲気が全然違いますね。

英語は特に「言い方」が重要だよ。

demand を使わないだけで平和になりますね。

日常会話ではそれが正解だね。
ビジネスでの表現例:請求・要求・必要を伝える自然なフレーズ
ビジネスシーンでは、公式性・責任・緊急性がある場合に demand が使われます。
ただし、相手との関係性によっては強すぎるため、慎重な判断が必要です。
直接的で強い例:
- We demand immediate action.
→ クレーム、是正要求、交渉の最終段階などで使用
やや柔らかいが公式な例:
- We strongly request immediate action.
- Immediate action is required.
また、次のように 人ではなく仕事・役割を主語 にすると、 demand の圧は弱まります。
- This position demands strong communication skills.
- The project demands careful planning.
この用法は 「要求する」より「必要とする」に近く、求人・説明文で非常によく使われます。

ビジネスだと demand もアリなんですね。

うん。ただし「誰に向けているか」が重要だよ。

人に直接言うと危険?

関係性次第。慎重にね。
demand for / meet the demand / in demand などの定番表現
これらはすべて名詞の demand を使った表現で、感情的な強さはなく、ビジネス・ニュース・日常説明で安全に使えます。
demand for ~(〜の需要):
- There is growing demand for renewable energy.
- Demand for skilled workers is increasing.
数量・傾向・増減と相性がよい表現です。
meet the demand(需要を満たす):
- The company cannot meet the demand.
- Production was increased to meet demand.
供給・生産・対応能力とセットで使われます。
in demand(需要が高い/人気がある):
- IT engineers are in high demand.
- This product is still in demand.
会話・文章どちらでも使える便利表現です。

この demand は全然怖くないですね。

名詞だから安心して使っていいよ。

日常会話でも使えそう。

うん。ここは積極的に覚えよう。
demandと似た意味を持つ単語との違い
demandとneedの違い
demand と need はどちらも「必要・要求」を表しますが、 英語では 立場の強さ・相手への圧力 が大きく異なります。
- demand:相手は応じるべきだ、という前提がある(外向き・強制力)
- need:自分の状況として必要(内向き・説明的)
つまり、
- demand = 権利・正当性・不満を背景にした要求
- need = 状況・事情を伝えるだけ
という違いです。
例文比較:
- I need help. (助けが必要だ)
- I demand help. (助けを要求する/応じるべきだ)
後者は、相手との関係性によっては 怒っている・攻撃的という印象を与えます。
また、need は無生物主語でも自然に使えます。
- This job needs experience.
一方、demand は
- This job demands experience.
とすると「高い要求水準」というニュアンスになります。

need のほうが安全ですね。

日常会話では圧倒的にneedだね。

demand は最後の切り札?

まさにそのイメージだよ。
demandとaskの違い
ask は最も基本的で中立的な「尋ねる/頼む」を表す動詞です。
一方 demand は、相手の判断をあまり尊重しない強い要求です。
- ask:相手に選択権がある
- demand:相手は応じるべきだという前提
この違いにより、日常会話のほとんどは ask で成立します。
例文比較:
- I asked him to explain. (説明してくれるよう頼んだ)
- I demanded that he explain. (説明するよう要求した)
後者は、
- 怒り
- 立場の強さ
- 公式性
を強く感じさせます。
そのため、いきなり demand を使うと関係が悪化することもあります。

まず ask が基本ですね。

うん。demand は非常手段。

初心者ほど気をつけないと。
demandとrequestの違い
request は「丁寧でフォーマルな依頼」を表す語で、 demand と同じく公式な場面で使われますが、相手への配慮の度合いが大きく異なります。
- request:礼儀・配慮・丁寧さを重視
- demand:正当性・強制力を重視
例文比較:
- We request your cooperation. (ご協力をお願いいたします)
- We demand your cooperation. (協力を要求します)
前者はビジネスメールで頻出ですが、 後者は
- クレーム
- 是正要求
- 交渉の最終段階
など、限定的な場面で使われます。
また、request は
<
- li>politely request
- kindly request
のように、丁寧さを強調する副詞と自然に組み合わせられます。

ビジネスなら request が無難ですね。

うん。demand は本当に強い。

使い分けが大事ですね。

そこが上級者ポイント。
まとめ
demand は「要求」「需要」を表す英単語ですが、最大のポイントは「強さのコントロール」です。
- 動詞の demand:強い要求・正当性・圧力を伴う
- 名詞の demand:中立的で安全(需要)
- 日常会話では need / ask / request が自然
- ビジネスでは場面を選べば demand も有効
意味だけで覚えるのではなく、「誰に・どの立場で・どの場面で使うか」を意識することが重要です。

demand って、思ってた以上に使いどころが難しいですね。

うん。でも強さを理解すれば、逆に武器になるよ。

まずは名詞から安心して使うわ。

それが正解。
動詞は必要な場面だけで使おう。


demand って、思ってたより強いですね。