なぜ「盗む」が「激安」に?stealの持つニュアンスと意味の深掘り
steal という単語を聞くと、多くの人はまず「盗む」という意味を思い浮かべるでしょう。
しかし、英語では steal はそれだけにとどまらず、「心を奪う」「主役をさらう」「こっそり視線を向ける」、さらには「激安」「お買い得」といった、一見まったく異なるニュアンスでも使われます。
これらに共通しているのは、「本来あるべきものを、気づかれないうちに奪う」「一瞬で持っていく」という感覚です。
本記事では、steal の基本的な意味から比喩的な使い方、慣用句や会話表現までを整理しながら、なぜ steal がここまで幅広く使われるのかを掘り下げていきます。
目次
stealの基本解説
stealの動詞の意味
steal の動詞としての基本的な意味は「(こっそり)盗む」です。ここで重要なのは、単に「取る」のではなく、相手の許可なく・不正に・気づかれないように行う行為を指す点です。
そのため、steal には常に否定的・違法的なニュアンスが含まれます。
また、steal は「物理的な物」に限らず、「アイデア・時間・チャンス・注目」など、形のないものを奪う行為にも使われます。
この場合も、「本来は自分のものではないものを、自分の利益のために取る」という感覚が共通しています。
例文:
- He stole my wallet.(彼は私の財布を盗んだ)
- She stole my idea and presented it as her own.(彼女は私のアイデアを盗んで、自分のものとして発表した)


ポイントは「本来の持ち主がいるものを、不正に奪う」って感覚。
だから精神的なものにも使えるんだ。

take との違いがはっきりしたわ。

うん、steal は使うだけで「悪いことをした」って伝わる強い動詞だよ。
stealの名詞の意味
名詞としての steal は、動詞ほど一般的ではありませんが、口語表現や特定の分野では非常によく使われる重要な用法です。
基本的なイメージは「盗み」そのものではなく、「本来の価値に対して非常に有利な獲得」「信じられないほど安い買い物」といったポジティブな意味になります。
この名詞の steal は、「それを手に入れた人が圧倒的に得をしている状態」を強調する表現です。
そのため、実際に盗みが行われているわけではなく、比喩的・ユーモラスな表現として使われます。
特に買い物、契約、取引、スポーツのトレードなどで頻繁に登場します。
例文:
- That jacket for $30 was a steal.(あのジャケットが30ドルなんて、掘り出し物だった)
- At that price, it’s an absolute steal.(その値段なら、完全に破格だ)
また、名詞の steal は単独で使われることが多く、
- make a steal(うまい買い物をする)
- call it a steal(お得だと評価する)
といった形でも使われます。
例文:
- He made a steal at the used car auction.(彼は中古車オークションで非常に得な買い物をした)

steal が名詞になると、悪い意味じゃなくなるんですね。

名詞の steal は「安すぎて得をしすぎた」っていう感覚を表す言葉だよ。

じゃあ犯罪っぽい印象はない?

ほぼないね。
むしろ「いい買い物したね!」っていうポジティブな評価だよ。
stealの過去形・過去分詞形
steal は不規則動詞で、形が変化します。
- 原形:steal
- 過去形:stole
- 過去分詞形:stolen
過去形の stole は「過去に起きた盗み」という事実を述べるときに使います。
一方、過去分詞 stolen は、受動態や完了形で使われ、「盗まれた状態」や「盗まれた結果」に焦点が当たります。
例文:
- He stole a bike yesterday.(彼は昨日自転車を盗んだ)
- My bike was stolen last night.(私の自転車は昨夜盗まれた)
- Someone has stolen my phone.(誰かが私のスマホを盗んだ)

stole と stolen、使い分けが難しい…。

簡単に言うと、「誰が盗んだか」を言うなら stole、「盗まれた側」や「状態」を言うなら stolen、だね。

受動態=stolen って覚えればよさそうですね。

その覚え方でほぼ間違いないよ。
stealの発音と読み方
steal の発音は /stiːl/ で、日本語では「スティール」に近い音になります。
母音の /iː/ をしっかり長く伸ばすのがポイントです。
この単語は steel(鋼)と完全に同じ発音になるため、音だけでは区別できません。
英語では、文脈によって意味を判断します。

発音が同じだと、リスニングで困りそう。

でも英語では「どんな文脈か」で自然に判断できるようになるよ。

発音自体はシンプルですね。

うん、音は簡単。
そのぶん意味の切り替えが大事な単語だね。
「盗む」だけじゃない!stealの多彩な意味
基本的な意味は「(こっそり)盗む」
steal の最も基本的な意味は「(こっそり)盗む」です。
ここで重要なのは、相手に気づかれないように、許可なく、不正に取るというニュアンスです。
力ずくで奪うというより、「黙って持ち去る」「ばれないように奪う」イメージが強く、計画性や隠密性が含まれます。
また、steal は単なる行為の描写だけでなく、「倫理的に間違っていることをした」という評価も自然に含むため、文章中で使うと強い印象を与えます。
例文:
- He stole my wallet from my bag.(彼は私のバッグから財布を盗んだ)
- Someone stole my bike while I was inside.(中にいる間に誰かが私の自転車を盗んだ)

take と比べると、かなり重いですね。

うん、steal を使った瞬間に「犯罪・不正」って伝わるから注意が必要だよ。
「心を奪う・魅了する」
steal は比喩的に使われると、「心を奪う」「強く魅了する」という意味になります。
この用法では、否定的なニュアンスはほぼ消え、感情を一瞬で持っていかれるほど強い魅力を表します。
恋愛表現や感動的な場面でよく使われ、ややドラマチックな響きがあります。
「意識せずとも惹きつけられた」「抵抗できないほど魅了された」という感覚が背景にあります。
例文:
- Her smile stole my heart.(彼女の笑顔に心を奪われた)
- The movie stole the audience’s hearts.(その映画は観客の心をつかんだ)

同じ steal なのに、印象が全然違うわ。

ここでは「奪われても嬉しい」ニュアンスなんだ。
「こっそり忍び寄る・静かに移動する」
steal は動作動詞として、「静かに」「こっそり」移動する意味でも使われます。
この場合の中心イメージは「音を立てない」「気づかれない」であり、盗みそのものよりも動きの静かさが強調されます。
文学作品や描写的な文章でよく使われ、動作に緊張感や雰囲気を加える効果があります。
例文:
- He stole out of the room without a word.(彼は一言も言わず、こっそり部屋を出た)
- The cat stole up behind me.(猫が私の背後に忍び寄った)
また、steal は「視線」や「一瞬の行動」と組み合わさることで、「相手に気づかれないように、ちらっと見る」という非常に繊細な意味になります。
例文:
- He stole a glance at her during the meeting.(彼は会議中に彼女をちらっと盗み見た)

「盗む」感じが薄れてますね。

でも「気づかれない」が共通点だよ。
そこが steal らしさだよ。
「主役をさらう(steal the show)」
steal the show は非常に有名なイディオムで、「注目を独占する」「一番目立つ」「主役をさらう」という意味です。
本来目立つはずでなかった人や要素が、結果的に最も印象に残る、という状況で使われます。
パフォーマンス、映画、スポーツ、プレゼンなど、人前で評価される場面で幅広く使われます。
例文:
- She stole the show at the awards ceremony.(彼女は授賞式で主役をさらった)
- The rookie stole the show in his first game.(新人がデビュー戦で注目を独占した)

show を盗むって発想が面白いわ。

直訳は変だけど、「注目を全部持っていく」って意味だね。
直訳注意!stealを使った面白い慣用句
steal を使った慣用句は多く、直訳すると意味が分からなくなるものがほとんどです。
共通するイメージは「本来他人のものだった優位性・注目・成果を奪う」です。
代表的な表現には以下があります。
例文:
- He stole my thunder.(彼は私の注目や手柄を横取りした)
- She stole a march on her competitors.(彼女は競争相手より一歩先に出た)

直訳だと全然意味が通じないわ。

だから慣用句は「意味ごと」覚えるのが鉄則だよ。
なぜ「steal」は「激安」を意味する?比喩的ニュアンスの深掘り
「泥棒も同然」?お買い得・激安を意味するユーモアな由来
「It’s a steal!」に代表されるこの用法は、steal の本来の意味である「盗む」を、あえて誇張的・冗談っぽく使った比喩表現です。
意味としては、「この価格で手に入るなら、まるで盗んだかのように得をしている」という感覚を表します。
重要なのは、ここでの steal は犯罪や不正を肯定しているわけではないという点です。
あくまで、「価格と価値が極端に釣り合っていない」ことを強調するための、軽いユーモア表現です。
そのため、カジュアルな会話や広告コピーで非常によく使われます。
また、「安い」だけではなく、
- 品質が想像以上に良い
- 性能に対して価格が低すぎる
- 条件が一方的に有利
といった場合にも使えるのが特徴です。
例文:
- I can’t believe I got this laptop for $300. It’s a steal.(このノートパソコンを300ドルで買えたなんて信じられない。激安だよ)
- At that price, it feels like a steal.(その値段だと、盗んだみたいにお得に感じる)

steal って言ってるけど、全然悪い意味じゃないんですね。

うん、「安すぎて申し訳ない」くらいのノリだと思えばいいよ。
いつ使う?日常会話や広告での「It’s a steal!」活用例
「It’s a steal!」は、強いお得感を一言で伝えられる便利な表現です。
そのため、日常会話だけでなく、広告・セール・レビューなどでも頻繁に使われます。
日常会話では、友達や家族とのカジュアルなやり取りで使われることが多く、「安いよ」「おすすめだよ」というニュアンスを含みます。
一方、広告では購買意欲を刺激するためのキャッチコピーとして使われ、「今買わないと損」という印象を与えます。
ただし、フォーマルな文書や公式な契約書などでは使われません。
あくまで口語的・感覚的な表現である点には注意が必要です。
例文(会話):
- This jacket was only $40. It’s a steal!(このジャケット40ドルだよ。激安!)
例文(広告風):
- Only $99 — it’s a steal!(99ドルだけ!破格!)

広告でよく見る理由が分かったわ。

短くて感情に訴えるから、売り文句として強いんだよ。

ビジネスメールでは使わないほうがいい?

うん、カジュアル限定って覚えておくと安心だよ。
混乱を解消!似た意味を持つ英単語との違い
stealとtake の違い(不当か正当か)
steal と take はどちらも日本語では「取る」と訳されることがありますが、意味とニュアンスには決定的な違いがあります。
take は非常に中立的な動詞で、「手に取る」「受け取る」「連れて行く」など、正当・合法・日常的な行為を幅広く表します。
一方、steal は「相手の許可なく、不正に、こっそり奪う」という意味が固定されており、使った時点で否定的評価が含まれます。
そのため、同じ状況でも動詞を変えるだけで、文の印象は大きく変わります。
英語では、話し手が「その行為をどう評価しているか」が、take か steal かの選択に表れます。
例文:
- I took his pen.(彼のペンを取った)
- I stole his pen.(彼のペンを盗んだ)

動詞を変えるだけで、罪の重さが変わりますね。

steal は「許されない行為」っていう判断込みの言葉なんだ。

間違って steal を使うと大変そう…。

うん、無意識に相手を犯罪者扱いすることになるから注意だね。
stealとrob の違い(「物」を盗むか「人」を襲うか)
steal と rob はどちらも「盗む」行為に関係しますが、文法構造と行為の性質が大きく異なります。
steal は「盗まれる物」が目的語になり、rob は「被害者(人・場所)」が目的語になります。
また、steal は「こっそり」「気づかれない」イメージが強いのに対し、rob は「力・脅し・暴力を伴う強奪」というニュアンスを含むことが多く、より深刻な犯罪を指します。
例文:
- He stole my wallet.(彼は私の財布を盗んだ)
- He robbed me.(彼は私を襲って金を奪った)
- They robbed the bank.(彼らは銀行を襲った)

rob のほうがかなり怖い…。

steal は「物」、rob は「人や場所」を狙うって覚えると分かりやすいよ。

rob a bank って言う理由も分かったわ。

銀行から「何を」奪ったかより、「銀行を襲った」ことが重要だからね。
実用フレーズと例文:場面別の使い方
日常会話編:買い物や世間話での活用術
日常会話での steal は、犯罪の意味ではなく比喩的・カジュアルに使われることが非常に多いのが特徴です。
特に買い物の場面では「安すぎる」「お得すぎる」という驚きを込めて使われ、ネガティブな印象はほぼありません。
この用法では steal は名詞で使われることが多く、感情(驚き・満足・ラッキー感)を一言で伝えられる便利表現です。
また世間話では「時間を奪う」「注目を奪う」といった軽い比喩表現としても自然に登場します。
例文:
- This jacket was a steal.(このジャケット、めちゃくちゃお得だった)
- I don’t want to steal your time.(時間を取らせたくないんだけど)
- I got it for half the price. Total steal.(半額で買えた。完全にお買い得)

steal って日常会話だと全然重くないわ。

「安すぎて盗んだみたい」っていう誇張表現だからね。

It’s a steal! って言われたら、褒め言葉なんだね。

むしろ「買って正解!」ってテンションだよ。
ビジネス編:アイデアや機会をめぐる表現
ビジネスシーンでは steal は競争・アイデア・機会と結びついて使われます。
ただし、ここでは「違法」よりも「先を越される」「奪われる」という比喩的・戦略的な意味合いが中心です。
特に注意したいのは、ビジネス英語では steal がやや攻撃的・強めの表現になる点です。
そのため、社内ミーティングや公式文書では使いどころを選び、カジュアルな議論や非公式な場面で使われることが多いです。
例文:
- They stole our idea.(彼らにアイデアを横取りされた)
- We can’t let competitors steal this opportunity.(競合にこの機会を奪われてはいけない)
- He stole the spotlight at the meeting.(彼は会議で注目を独り占めした)

ビジネスだと steal は結構強いですね。

「不公平感」や「悔しさ」を含む表現だからね。

公式メールで使うのは避けた方がいい?

そうだね、口語や雑談向きかな。
スポーツ編:野球の「盗塁」や「パスカット」
スポーツの世界では steal は完全に専門用語として定着しています。
特に野球やバスケットボールでは、「相手の隙を突いてボールや塁を奪う」という戦術的・肯定的な意味で使われます。
この用法では、日常英語の「盗む」という道徳的ニュアンスはほぼ消え、「判断力」「スピード」「反応の良さ」を評価する言葉になります。
例文:
- He stole second base.(彼は盗塁を決めた)
- She stole the ball and scored.(彼女はパスカットして得点した)
- That was a clean steal.(今のは見事なスティールだった)

スポーツだと steal が完全にプラス評価ですね。

むしろ「うまい!」って褒め言葉だよ。

犯罪感ゼロなのが面白いわ。

文脈次第で意味がガラッと変わる代表例だね。
まとめ
steal は単なる「盗む」という動詞ではなく、英語話者の感覚やユーモア、比喩表現の豊かさを象徴する単語です。
物を盗むというネガティブな意味から出発しながらも、
- 心や注目を奪う
- 一瞬の行動をこっそり行う(steal a glance)
- 主役やチャンスをさらう
- 安すぎる買い物を表す(It’s a steal!)
といったように、文脈によってポジティブにもニュートラルにも変化します。
steal を正しく理解することは、「英語を知る」だけでなく、「英語の感覚に近づく」ことでもあります。

steal って、こんなに意味が広がる単語だとは思っていなかったわ。

実は「こっそり・一瞬・奪う」っていう核さえ押さえれば、全部つながるんだ。

It’s a steal! とか steal a glance も、同じ感覚なんですね。

文脈で意味は変わるけど、根っこは同じ。
そこが分かると英語が一気に楽になるよ。


steal って、物だけじゃなくてアイデアにも使えるんですね。