wishが表す「現実にはありえない」の意味とは?
英語の wish は、日本語では単純に「願う」と訳されがちですが、実際には 「現実とは違うこと」「もう変えられないこと」に向けられた、非常に感情的で繊細な動詞です。
特に wish は、仮定法、過去形・過去完了、would や If onlyと強く結びつき、現実とのズレ・後悔・不満・切実な願いを文法で表現します。
この記事では、wish の基本的な意味から、「なぜ過去形を使うのか」「hope や want との違いは何か」まで、実際の使い分けができるように体系的に解説します。
wishの基本定義
wishの動詞の意味
wish は、「願う」という日本語訳だけでは本質がつかみにくい動詞です。
コアとなる意味は、現実と違う状態を思い描き、それに対して感情を向けることです。
wish が使われる場面の多くでは、すでに現実が決まっている、変えるのが難しい、または不可能だからこそ「残念」「後悔」「不満」がにじむといった背景があります。
そのため wish は、希望(hope)よりも感情的で、事実とのズレを強く意識する表現になります。
例文:
- I wish I were taller.(今は背が高くない → 変えられない現実)
- I wish I had more time.(時間が足りないという不満)
このように、wish は「叶えたい未来」よりも「叶わないと分かっている現実」に目を向ける動詞だと言えます。


“現実がこうじゃないのがつらい”って気持ちが含まれるよ。

だからちょっとネガティブに聞こえるんだ。

感情が前に出る動詞なんだよ。
wishの名詞の意味
wish(名詞) は「願い」「望み」という意味で、動詞の wish と比べると 感情の重さは弱く、より客観的に使われます。
特徴的なのは、 数えられる名詞(a wish / wishes)として使われる点です。
そのため、願い事、人生の望み、お祝い・定型表現など、前向き・形式的な文脈で使われることが多くなります。
例文;
- Make a wish.(願い事をして)
- Her wish came true.(彼女の願いが叶った)
- My only wish is your happiness.(私の唯一の願いはあなたの幸せです)
このように、名詞の wish には「現実と違うからつらい」というニュアンスは必須ではありません。

名詞の wish はだいぶ明るい感じですね。

動詞ほど“無理感”はないね。

だからお祝いメッセージでも使えるんだ。
wishの発音と読み方
wish の発音は以下の通りです。
- 発音記号:/wɪʃ/
- カタカナ表記:ウィッシュ
ただし、カタカナ通りに読むとやや不自然になりがちです。
特に重要なのは語尾の sh の音。
これは日本語の「シ」ではなく、息を前に出す「シュ」に近い音です。
また、母音 ɪ は「イ」と「エ」の中間のような短い音で、口を大きく開けずに素早く発音します。
発音のコツ:
- 「ウィ」で止めず、一気に「シュ」まで言い切る
- 語尾をはっきり発音するとネイティブ感が出る

ウィッシュって言えば通じる?

通じるけど、最後の sh をちゃんと出すと自然だよ。

“ウィシ”じゃダメなんですね。

それだと日本語っぽく聞こえるね。
仮定法:「現実にはありえない」を表現する主なパターン
現在:「今〜だったらいいのに」を過去形で表す理由
wish を使って 今の現実と違う状態を表すとき、英語では 動詞を過去形にします。
これは「時間が過去」という意味ではなく、現実から距離を取るための形です。
英語では、
- 現実的・可能性が高い → 現在形
- 非現実的・仮の話 → 過去形
という感覚があります。
wish の過去形は「今はそうではない」という前提を、文法的に示しているのです。
特に be動詞は主語に関係なく were を使うのが基本で、これは「仮定法 were」と呼ばれます。
例文:
- I wish I were rich.(今はお金持ちではない)
- I wish she knew the truth.(彼女は真実を知らない)
どちらも、「そうなっていない現実」を含んだ表現です。

今の話なのに、過去形って混乱する…。

時間じゃなくて“現実かどうか”を表してるんだ。

じゃあ、過去形=ウソの世界?

そう。現実じゃない世界への一歩だね。
過去:「あの時あぁすれば…」と後悔を語る過去完了の使い方
wish で 過去の出来事への後悔を表す場合、 had + 過去分詞(過去完了) を使います。
これは、
- 実際に起きた過去
- それとは違う「もう一つの過去」
を比べる表現です。
すでに終わった出来事なので、やり直しは不可能というニュアンスが強くなります。
例文:
- I wish I had studied harder.(もっと勉強しておけばよかった)
- I wish I had told her the truth.(本当のことを言っていれば…)
この形は、後悔・反省・自責の気持ちを自然に表します。

これは一番つらいやつですね…。

“今さらどうにもならない”感じだね。

だから過去完了なんだ。

もう一段階、時間を下げてるんだよ。
未来・不満:「〜してくれればいいのに!」wouldが運ぶイライラの正体
wish + would は、相手の行動に対する不満・不平・期待を表す形です。
ここでの would は未来を予測しているのではなく、「その行動をしてくれない現実」への感情を含んでいます。
そのため、この形には
- もどかしさ
- 軽い怒り
- 改善してほしいという圧
がにじみやすくなります。
例文:
- I wish you would listen to me.(話を聞いてくれればいいのに)
- I wish he would stop complaining.(文句を言うのをやめてほしい)
※ 原則として 自分の行動には使わない点も重要です。

丁寧だけど、圧があるね。

感情はかなり前に出てるからね。

遠回しに文句言ってる感じだわ。
wish をもっと強調したい時の「If only...」の使い方
If only... は、wish とほぼ同じ意味を持ちますが、感情の強さがワンランク上になります。
話し手の気持ちとしては、
- 強い後悔
- 切実な願い
- どうしようもなさ
が前面に出ます。
構文は wish と同じく仮定法を使います。
例文:
- If only I were younger!(もっと若ければなぁ!)
- If only I had known.(知っていれば…)
多くの場合、感嘆符(!)が付くのも特徴です。

これは独り言っぽいですね。

感情が爆発してる感じだよ。

普通の wish より重い…。

“本当にそうだったら…”って嘆きだね。
どっちを使う?意味が似た英単語との使い分け完全ガイド
wishとhopeの違い:実現する「確率」の差に注目しよう
wish と hope は、どちらも日本語では「願う」と訳されますが、英語では 前提としている現実の確率が大きく異なります。
基本的な考え方:
- hope:実現する可能性がある/まだ起こり得る
- wish:実現が難しい/現実とすでにズレている
つまり、hope は「前向きな期待」、wish は「現実を見たうえでの願望」と言えます。
例文:
- I hope it will stop raining.(雨が止むといいな → 止む可能性あり)
- I wish it would stop raining.(もう止まなさそうだけど、止んでほしい)
この2文の違いは、話し手がどれくらい現実を信じているかです。
hope には「まだ望みがある」という感覚があり、wish には「正直、厳しい」という諦めがにじみます。
また、hope は未来志向、wish は現実とのズレを意識する表現という違いも重要です。

どっちも気持ちは同じに見える…。

hope は“まだいける”、wish は“もう無理かも”だよ。

なるほど、温度差があるんですね。

そこが一番の違いだよ。
wishとwantの違い:単なる願望か、それとも丁寧な「依頼」か?
wish と want の違いは、感情の向きと文の丁寧さにあります。
基本的な違い:
- want:直接的・率直・日常会話向き
- wish:丁寧・控えめ・フォーマル寄り
want は「〜が欲しい」「〜したい」と、自分の要求をそのまま出す動詞です。
一方 wish は、相手への配慮を含んだ言い方になりやすく、特に wish to + 動詞 の形ではフォーマルさが際立ちます。
例文:
- I want to speak to the manager.(店長と話したい)
- I wish to speak to the manager.(店長とお話ししたいのですが)
意味はほぼ同じでも、後者のほうが距離感があり、丁寧です。
また、want は感情がストレートな分、状況によっては 強すぎる・失礼に聞こえることもあります。

want って意外と強いんですね。

目上の人には注意だよ。

wish を使うと柔らかくなる?

そう。場面を選ぶ表現だね。
実践フレーズ集:感情が伝わるwishの使い方
日常会話の定番!現在・過去・未来の使い分け例文
wish は日常会話でよく使われますが、現在・過去・未来(不満)で形とニュアンスがはっきり変わります。
現在のズレ(今そうじゃない):
- I wish I had more money.(もっとお金があればいいのに)
→ 今の現実に対する不満・不足感。
過去の後悔(もう戻れない):
- I wish I hadn’t said that.(あんなこと言わなきゃよかった)
→ 取り消せない発言・行動への後悔。
未来・不満(相手への期待):
- I wish you would hurry up.(早くしてくれればいいのに)
→ 相手の行動が変わることを期待しつつ、少しイライラ。

全部 wish なのに、気持ちが違いますね。

どれも“現実とズレてる”けど、ズレの場所が違うよ。

今・過去・相手の行動、ってことか。

それが使い分けの軸だよ。
お祝いメッセージ:「I wish you...」で相手の幸せを祈る魔法の形
I wish you ... は、相手の幸せや成功を祈る 定型的でポジティブな表現です。
この用法では、
- 仮定法ではない
- 現実とズレている必要もない
という点が重要です。
例文:
- I wish you happiness.(幸せを願っています)
- I wish you all the best.(ご多幸をお祈りします)
- I wish you a speedy recovery.(一日も早い回復を祈っています)
フォーマル・カジュアルどちらでも使え、カード・メール・スピーチなど幅広く対応できます。

これは暗さゼロだわ。

うん、wish の中では例外的に明るいよ。

覚え方は“決まり文句”ですね。

それが一番安全だよ。
wish + to不定詞が持つ「フォーマル」な響き
wish + to + 動詞 は、自分の意思や要望を 丁寧・控えめに伝える表現です。
日常会話ではあまり使われず、ビジネス文書、公式メール、アナウンスなどでよく登場します。
例文:
- We wish to inform you that...(ご連絡申し上げます)
- I wish to express my gratitude.(感謝を申し上げます)
- I wish to make a complaint.(苦情を申し上げたいのですが)
want に比べて、感情を抑え、距離感を保つのが特徴です。

会話だと硬すぎますね。

うん、書き言葉専用と思っていいよ。

want を避けたい場面で使う感じ?

その理解でOKだよ。
日本人が間違えやすい「wish」のNGパターン
wish は文法を間違えやすい動詞の代表格です。
特に多いミスは時制の選び方。
NG 1. 現在・未来に will を使う
- × I wish I will be rich.
- ○ I wish I were rich.
NG 2. 実現しそうな未来に wish を使う
- × I wish it will rain tomorrow.
- ○ I hope it will rain tomorrow.
NG 3. 自分の行動に would を使う
- × I wish I would study harder.
- ○ I wish I studied harder.

wish、ルールが多い…。

でも全部“現実かどうか”で考えれば大丈夫だよ。

可能性ある → hope、ズレてる → wish

それで完璧だよ。
まとめ
wish の本質は、「願う」ことそのものではなく、現実と違っていることへの感情表現にあります。
- 今の現実と違う → 過去形
- 過去への後悔 → 過去完了
- 相手への不満・期待 → would
- 感情をさらに強める → If only
また、
- 実現しそうなら hope
- 直接的に言うなら want
- 丁寧・公式なら wish to
という使い分けも重要です。
wish を正しく使えるようになると、英語で 後悔・不満・切実な思いを自然に表現できるようになります。
文法だけでなく、気持ちの動きも意識して使ってみましょう。

wish って、思ってたより重い単語ですね。

“現実をちゃんと見てる”からこそ使う表現だからね。

ただの願望じゃなくて、気持ち込みなんだ。

そう、だから文法も感情も一緒に覚えると一気に理解できるよ。


wish って、ただの“願う”じゃないんだね。